今週の説教要旨

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2013年12月1日

「選ばれた者」 

榎本栄次 牧師

ホセア書 8章

 今日からアドベントに入ります。キリストの誕生を祝う備えの期間です。キリスト教会ではこの日をその年の初めと考えています。さてこのキリストの誕生を天使から聞かされ、お祝いに駆けつけたのは夜野宿していた羊飼いたちでした。この人たちが世界中の人に先駆けてキリストの誕生を祝ったのでした。いわば、選ばれた人です。この人たちが、この世で一番貧しく淋しい人たちであったからです。私たちキリスト者も、主に選ばれた者です。何の取り柄もない者が、神の子として特別に選び出されました。他と比べて優れているからではなく、むしろ哀れな者であったからこそ選ばれたのです。

 ホセア8章には大変厳しい告発が続きます。それは主に選ばれた民であるが故に受ける責めです。彼らは主に背いて、偶像を拝し、エジプトやアッシリヤに貢ぎ物を出して罪に罪を重ねました。「わたしは多くの戒めを書き与えた。しかし彼らはそれを無縁のものと見なした」(12)から「主はその不義に目を留め、その罪を裁かれる」(13)のでした。そして「鷲のように主の家を襲うものがある。イスラエルが私の契約を破り、わたしの律法に背いたからだ」(1)と彼らの罪を告発します。鷲はパレスチナに多く生息しており、大空を回り獲物をねらって上空を飛び廻ります。鷲は悪魔ではなく、神の姿でした。今、イスラエルが受けている苦難は悪魔の仕業ではない。主の裁きであるというのです。選ばれた者の受難です。鷲の叫びはまたイスラエルに対する警告でもあります。

 イスラエルはヤラベアムⅡ(b.c.781-753)の治世にその領土はダマスカスを遙かに越えユーフラテス川に至るほど拡大し、まるでアブラハムへの契約が実現したかのようでした。(列王記下14:25)しかしその輝かしい成功の影には、大国に媚びへつらいながら弱く貧しい者たちを虐げ、商人たちの不正や主の名を汚す行為などが横行していました。預言者ホセアの頃(b.c.750-722)には、政治的危機の増大と共にヤーウェ(主)への礼拝が益々形骸化し、見過ごしにできない悪が蔓延していたのです。

 ホセアは、この危機に直面したイスラエルに対して、現実の危機すなわちアッシリアの来襲は、罪を重ねている主の民に対する神の裁きであると警告します。「わたしはその町々に火を送り、火は城郭を焼き尽くす」(14)と。それでは相手のアッシリアやエジプトははどうなのでしょうか。神の前に正しかったのでしょうか。そうではない、アッシリアやエジプトにはイスラエルと比べものにならないほどの悪があったでしょう。それではどうしてイスラエルやユダだけが罰せられねばならなかったのでしょうか。

       

 私はこの聖書を読みながら暗い気持ちになり、イスラエルの人が気の毒になりました。選民になったばかりにこのように厳しく責められなければならないのかと。しばらくして、新しい光に照らされました。それはこれほどの平安はないことに気づかされたからです。どんな不幸なこと、厳しいことにも神の愛が裏付けられていることです。選民とされることは、そこにあること全てが意味あることとされることです。失敗して、それはお前のせい、自己責任だと責められるときにも、神の救いのためであることを知るのです。神さまの方が知らないと突き放してくださるときにも、なお知られている、という事実です。そこに選ばれた者の救いがあるのです。

      

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聖書It would be greatly appreciated by the person who makes peace. 
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