今週の説教要旨

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2014年8月10日     聖霊降臨節第10主日   

「 獣の数字 」 

榎本 栄次 牧師

ヨハネの黙示録  13章

 8月は平和を祈る聖霊の月ですが、亡霊とか怪談が語られる悪霊の時でもあります。教会は聖霊の支配するところであり、悪霊の支配するところではありません。それでは聖霊と悪霊との違いはどこにあるのでしょうか。それは神の支配するところが聖霊であり、それに対してどんなに恐ろしく大きくて見えても神の世界に背を向けるのが悪霊です。
 黙示録12章で示されたように、サタンである竜は天で敗北し地上に落とされました。しかし、しばらくの間地上での支配が許されて、「イエスの証しを守り通している者たちと戦おうとして・・竜は、海辺の砂の上に立った」(12;18)のでした。
13章では、その竜が「自分の力と王座と大きな権威とを与えた」(2)一匹の獣が海から登って来ました。この獣は人々に襲いかかり、人々から恐れられましたが、頭に致命的な傷を負って死んだものと思われました。ところがこの獣が生き返ったのです。これを見て人々はさらに恐れ、神のように拝み始めました。さらに、もう一匹の獣も現れ、先の獣を拝ませ、その像を造り、これを拝ませました。獣はこの像がものを言うように(細工)し、従わない者は皆殺しにさせました。そして全員にこの獣の刻印を押させ、刻印のない者は買うことも売ることもできなくさせました。こうしてキリストを証しする人たちは大変な迫害に遭いました。
ここで現れた竜や獣は、架空の存在ではなく具体的な存在を指していました。キリスト者はそれを「獣の数字666」として暗号で伝え、警戒を呼びかけました。この数字に魔力的な意味はなく、ヘブル語になおすと、ネロン・カイザル(皇帝ネロ)となるのです。いわばクリスチャン同士の暗号です。それは恐ろしい獣だけれども神ではない。神はそれに勝利しているという意味が含まれています。
 この当時、ローマは全ての人に皇帝礼拝を強制したのですが、特にキリスト教徒は厳しい迫害を受けました。もともと皇帝礼拝は皇帝が要求したものではなく、アウグストウス、クラウデウス、ティベリュウスなどはむしろ皇帝礼拝を嫌い、人間が神として取り扱われることを不愉快に感じていたと言われます。ところが、ローマ帝国の恩恵を受けている周囲の人々が、皇帝を神に祭り上げ、各地に神殿を造り、これを拝ませたのです。それは宗教的な意味よりも政治的な意味で、皇帝礼拝を強制することにより民意を統制しようとしたのでした。皇帝礼拝を拒むことは皇帝に背く不忠な民というレッテルが貼られ、あらゆる市民権が剥奪されました。獣は暴君として名高いネロを指しています。彼は建築に異常な関心があり、ローマの都市を改造しようとして、ローマに大火を起こし、その放火のぬれぎぬをキリスト者に着せて迫害したのでした。捕らえられた人たちへの迫害は、それが偽りである故に余計に凄惨を極めました。しかし彼は民衆の支持を失い、やがて68年に自殺しました。もうこれでおしまいかと思われましたが、なおひどい迫害が続きました。幼稚な偶像でも国家権力と結びつくとお笑いぐさでは済まされないことになります。役人や祭司は各地区に配属され、皇帝礼拝を行った者には証明書が出され、「刻印」という証明書が渡されました。それがない人はものを買うことも売ることもできないようにされたのです。それは恐ろしいけれども神ではない。その勝負はすでについている。「イエスは主なり」の告白に立つときにこの悪霊の支配に耐え勝利できるのです。




音声をお聞きいただけます

2014/8/10 獣の数字

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聖書It would be greatly appreciated by the person who makes peace. The reason for the person is that it is called the son of God.-平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです。