今週の説教要旨

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2015年4月19日                                         復活節第3主日

「幸いと不幸」 

榎本 栄次 牧師

ルカによる福音書6章20-26節

  人はみな幸せを求めて生きています。不幸からはできるだけ遠くにいたいと願います。それでは何をもって幸せといい、何をもって不幸とするのでしょうか。健康で、豊かで、好きな人と一緒にいられる、そのようなとき人生に喜びを感じ、幸せだなあと思います。そのようなときが早く来て、長く続いて欲しいものです。逆に、辛く苦しいときは、不幸です。その時は「早く終わって欲しい」「どうして」「呪われているのかしら」と思ったりします。
 今日のテキストでは、何が幸せで何が不孝なことかを「あなたがた」と二人称で弟子たちに語りかけています。その内容は「貧しい人たちは幸いである」「今泣いている人たちは幸いである」とあり、わたしたちの基準とは真逆のものです。どうして貧しいことや、泣いていることが幸いなのでしょうか。
「神の国はあなたがたのものである」とします。神の国というのは、国土のことではなく支配のことです。イスラエルは常に外国の支配下にあって怯え、いつも貧しく泣いている状態でした。将来神の御支配が来る。笑えるようになると言うのが彼らの信仰であり、祈りでした。主イエスはその神の国が近づいた。否、すでにここに到来していると告げるのです。
 昔、イスラエルはアンモン人の侵略に怯えていました。「全員片目をくりぬけ」という理不尽な要求と侮辱になすすべもなく、「民のだれもが声をあげて泣いた」とあります。(サムエル記上11:4)その時、牧場から帰ってきた若者サウルが鬨の声を上げ、全イスラエルに抵抗を呼びかけます。民は一丸となってこれに応えて戦い、大勝利を収め、大いに喜び祝ったのでした。初代サウル王の誕生です。
「今泣いている人々は、幸いである。笑うようになる」。主イエスの到来により泣いている、今が幸せになるから幸いなのです。「不孝なこともいいことですよ。そのうちによくなるから。私もそうでしたから」などと幸せそうにしている人から言われると、相手は励ますつもりかもしれませんが、反発を感じ、余計に苦しくなります。貧しさの故に、一家が離散してしまったり、子どもを殺したり、自死をはかるという悲劇が続きます。このような貧しさはあってはならないことです。泣くようなことは避けられねばなりません。「塞翁が馬」とか言う教訓にしてはいけない悲しみがあります。主イエスはその悲しみをよしとされたのではありません。その悲しみのただ中にいてくださるのです。私の悲しみを取り除いてくださるのです。
 後半では「富んでいるあなたがたは、不幸である。」「今満腹している人々、あなたがたは不幸である。」「今笑っている人々、あなたがたは、不幸である」と言われます。そこには主がおられないからです。やがて悲しみの時が来る。その時どうするのでしょうか。
 幸せと不幸の基準は、主が共にいてくださるかどうかです。今だけよければいいという刹那主義は絶望です。主につなげられることが幸いなのです。イエスがここにおられるということが幸せの根拠です。飢えているとき、泣いているとき、ここに主が共におられる。それ故にその涙は決してそこだけのことではなく、意味が伴ってくる。それ故に悲しみと涙が喜び、笑いに変えられるのです。それはやがてそういうときが来るというだけではなく、貧しさに泣いている今、飢えているこのときが恵みの時、笑いの日になるのです。
 弟子たちに語りかけた主イエスの言葉は、後に受けるキリスト者たちの貧しさや悲しみが決して敗北ではなく、主の復活の喜びに通じる希望であることを指し示すものでした。

 

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2015/4/19 幸いと不幸

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聖書It would be greatly appreciated by the person who makes peace. The reason for the person is that it is called the son of God.-平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです。